パッション・ダムール・アゲイン 感想 手を振ってもいいんです。

宝塚

 満開の桜は美しいですね。

そして、葉桜にも葉桜の美しさがあります。
過ぎ行く春の日々をじっと見守っているような、物静かな佇まいを感じます。

NOW ON STAGE での意外な一言

 『バレンシア&パッション・ダムール』のNOW ON STAGEを、録画だけして見ていなかった事を思い出し、昨日見てみました。

ディスタンスを取るということで、『凪七・瀬央・舞空』と『凪七・極美・天飛』に分かれての対談。この番組、下手をすると「上級生のヨイショ」に終始してしまって、全然面白くない時があるのですが、今回のNOW ONは面白かったです。

カチャさんは下級生の話を聞くのが上手ですし、ただ聞くばかりではなく自分自身も対談を楽しんだ上で、出演者にはもちろん、視聴者に取っても『実のある話』にして下さいました。

 そのお話の中で興味深い一節がありました。
カチャさんが「最初に(稽古の映像を)通して見た時に、かりんちゃん(極美)は、頑張って大人にならなきゃって言ってたけど、私は落ち着きすぎてオジサンになってしまったなと(笑)」
「映像を見て『私こんなにオジサンだったんだ』とショックを受けたの。。」と、言ったので少し驚きました。

そういうお話は、稽古場で生徒同士が雑談しながら話すことはあっても、ファンが見るTV番組で普通は言わないのではないかと。

カチャ:「だからもうちょっと、若者ならではのエンジンの回し方を速めないと、これは若者にみえないぞ。と・・・(中略)もうちょっとエネルギーの回し方を速くしないとダメかなと感じたかなぁ。」

実際、カチャさんと極美君では11学年も違っていて、小学1年生と高校3年生位の差がある訳ですが、お芝居の役の上ではそれほど年齢差は無い設定でしょうから、お稽古の映像で客観的に見て、思わずカチャさんご自身の本音が出てしまったのだと思います。

実際そう思っても、自分では(特にタカラヅカの男役であれば)人には言わないと思うのです。でもカチャさんは『若く見せるためにはエネルギーの回し方を速くしなくちゃ』と、自分にとってはネガティブな内容なのに、あえて話題に出して演技のヒントになることを下級生に普通に話しているのです。

 スカステで司会を勤めていらっしゃる『CaFe ふぉるだ』でも、ゲストの下級生に対して、常に具体的で論理的なアドバイスを加えた受け答えをされていて、私なんてタカラジェンヌでもないのに毎回『なるほどなぁ』と、物事の考え方・伝え方の参考にさせていただいています。

今回の全国ツアー公演の「主演」が、カチャさんになった時『なぜ凪七瑠海?』と言う声が飛び交いましたが、全国ツアー公演で各地を回り、地方のファンを獲得したい狙いが一番大きいとは思いますが、「下級生の教育」という目的も大きいのだと思います。同行するスタッフさんも人数が限られていますから、舞台上のこと以外にもやらなくてはいけない事が沢山あるでしょうしね。

教え方の上手いカチャさんの言葉のみならず、舞台や稽古場での背中を見て学ぶ事も出来る訳ですから、下級生に取っては学びの場としては絶好のチャンスとなります。劇団としても『パッション・ダムール』で主演を経験している凪七瑠海なら、という思いもあったのかも知れません。

天飛華音の骨太さは貴重!

 天飛華音クンは、NOW ONの番組の中では最下級生だったので、終始遠慮がちでしたが、舞台上では堂々としていてハッとさせられました。歌も良かった!

新人公演の映像ばかりが印象に残っているせいか『琴ちゃんコピー』みたいな印象でしたが、今回はお芝居、ショーともにチカラ強く「天飛華音」を印象づけてくれました。
女役もチカラ強かったです(笑)

歌、芝居ともしっかりしていて、私は和希そら君の存在に似ていると感じました。

 最近の傾向として、シュッとした男役がもてはやされる事が多いように思いますが、そろそろガツンと濃~い男が見てみたいですね。
次にバレンシアの再演があったら、是非ラモン役を演ってほしいな。『銀ちゃんの恋』のヤスとかね。コミカルな役も絶対いけると思う。

NOW ONの中でも、「こう考えている、こうしたらどうか」と一生懸命に話していて、このあたりの学年の生徒は何にでも食らいついて、上級生の話を一言一句聴き逃すまいぞという感じなんでしょうね。

カチャさんが番組内でもおっしゃっていましたが『ああしたら、こうしたら』と、天飛君にアドバイスして、DVDを貸してあげたりする姿が目に浮かぶようです。
極美君がドアの隙間からこっそり見てそうですけどね。何だか羨ましそうな顔してました(笑)

極美君は舞台化粧なしだと、ふんにゃりして可愛らしいお顔なのに、舞台化粧すると『水もしたたる』超二枚目!全国ツアーでも人気爆発でしょうね。

どの場面もメインディッシュ!

 今回のショーは全場面がメインディッシュ!

『アディオス・パンパミーア』はカチャさんの声にピッタリだし、ご年配(私もですけど)の方々にも嬉しい曲なのではないでしょうか。

曲後半のアレンジの感じからすると、フィナーレ大階段・黒燕尾が似合いそうな曲なんですが、これをガウチョ衣装でショーの序盤に持ってきているところが何とも粋で豪華。カチャさんの『気さくな一面』がイイ感じで伝わってきます。

次の『愛の誘惑』は、メイン中のメインでしょうか。牛フィレ肉のステーキ?分厚いのをお願いします(^^)

パラディッソ?ハライソ?違う違う「パラダイスの歌手」
リンゴを持っていたかどうかは覚えてないけれど、ル・ポアゾンの初演の時は、確か涼風真世さんが歌ってた曲。そうそうバブル時代のディスコで流れてそうな曲でしたわ~。極美君もちょっと涼風さんぽく歌ってる?カナメ(涼風)ちゃんは超絶な歌ウマさんだったからハードル高かったと思いますが、パラダイス極美君もルックスも歌もバッチグーだったと思います。バブルっぽくて胡散臭くて(笑)とっても良かった。

そしてそして、アダムはせおっちですよ~♪
うん。振付が古臭い(こらこら)でも、これはこれで良いのです。もう、せおっちの踊る姿を観ているだけで幸せになる。心が浄化される。
そうなんです。瀬央ゆりあさんを見つめているだけで、私の中のドロドロしたものが透き通って来るのです。コレステロールも中性脂肪も全部流れてサラッサラになる。

振付のみならず、曲もいい感じで昭和~平成に移り変わる、バブルど真ん中の曲調がいいですよね。私たちシニア世代にはウケると思いますし、若い人には案外新鮮に伝わるかも。

少し古くて懐かしい感じ。世の中のイメージ通りのタカラヅカが全国ツアーで各地を回るのですね。

逆バージョンも観てみたい

 ノスタルジア 1860年のシチリア・・・

この場面はアレンジ版も含めたら、色々なショーで登場していますよね。

社交界の華 マチルド(舞空 瞳)
パトロン セバスチャン(瀬央ゆりあ)
凱旋将軍 ヴィットリオ(凪七瑠海)

という設定ですが、上記の逆で『カチャがパトロン』で『せおっちが将軍』というのもアリかと。と、申しますのは『パトロン』という役柄がどうしても瀬央さんに合わんのですよ。たとえショーの一場面でもね。せおっちがパトロンぽくないから、カチャさんが余計に「ふけて(ゴメンナサイ)」見えてしまうのです(おそらくご自身が一番感じていらっしゃると思います)。

将軍もせおっちの雰囲気には言葉が少し重すぎる感じだから、プログラム上の役名は『青年士官』でぼやかして、凪七さんを『パトロン』とする。そしてマチルドを奪われて苦悩する『パトロン』を主役にするというのはいかがぞなもし。

いわゆる「オペラ座の怪人」状態ね。
いつもいつも若者が正義、若者が物語の主役でなくても良いのでは?『パトロン』というと、お顔の大きいデップリと太った人を想像してしまうけど、スマートで素敵なダンディもいるはず。考えようによっては『青年パトロン』の場合もある訳で。

奪われた側の悲哀というのも、共感を呼ぶ題材だと思うのでいいと思うのですけれど。お年頃の娘さんを持ったお父さんが観たら泣いちゃうかな。。。

たたみかけるフィナーレ

ラインダンスでは、あのおしとやかな人妻だった水乃ゆりちゃんが、ダルマでキレッキレに踊っていらっしゃいます。それがまたタカラジェンヌの凄いところですよね。

カチャさんの黒燕尾フィナーレは、本当に男役冥利につきる場面でしょうね。この場面での舞空 瞳ちゃんの表情がとてもイイ!周りの生徒さんの視線も熱くて・・全員の「宝塚が好きやねん!このショーが好きやねん!皆みんな好きやねん!」のパワーがほとばしる場面です。

ALL BY MYSELF こういう意味深な歌詞を準備するのは反則ですよ。もう羽根がどうとか衣装がどうとかどうでもいいような気がします。

「私たちの大好きな宝塚を観てください」ただそれだけ。(厚かましく私も見せる側に回ってる気分なのじゃわ)

上級生から下級生まで、全編大忙しのショーですが、このショーだったらどの年代の方にも喜んでいただけそうですね。

 私が過去に行った「地方公演」では、ラインダンスが登場すると皆さん大喜び。フィナーレではおっちゃんもおばちゃんも手を振る振る(笑) 生徒さん達も嬉しいでしょうね。
今日は4月2日だから「市川市民会館」でしたね。お客さんはフィナーレで手を振ったのかしら(^^)/

そんなお客様の中からまた音楽学校を目指す人達が現れて、泣いて泣いて。未来のタカラジェンヌが生まれて、育って、また泣いて笑って。下級生の面倒を見て。

ファンも自分の家族や親せきのような思いで、心配したり喜んだり。泣いたり笑ったり。

何の因果で宝塚と出会ってしまったのか。たたりか?(笑)

でも、生まれ変わっても宝塚に出会う人生がいいなぁ。

おやすみなさい。


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