ここ2週間ほど仕事でドタバタして、やさぐれていたのですが、今は違います。清く正しく、美しいかどうかは置いといて、とっても清々しい心持ちなのです。
先程、カジノ・ロワイヤルのおかわりいただいて参りました。(注:食べられません)
真風・潤花の二人の世界が出来上がっていた
何でしょう、あの爽やかなお二人は。
ホテルのテラスで、ルーレット台の前で、拷問室で、古城の屋上で、そしてそしてパラシュートに揺られて。
もう、あんたら高校生かっ!って言いたくなるような会話を交わして。『役』だけではない、二人の純粋さが生で伝わってくるような場面の連続でした。
特に真風さんはとてもリラックスした雰囲気で、この作品を楽しんで、組子達を心から愛して、もう他の不純物は全て捨てましたみたいな感じ(よう分かる説明ですみません)。
千秋楽前できっとメチャクチャ忙しい時期だと思うのですが、舞台上ではとっても和んでいらっしゃる。バックヤードが忙しすぎて、舞台に出ている時が『一番ホッとする時間』なのかなと感じました。
潤花ちゃんは潤花ちゃんで、真風さんには全体重を預けても大丈夫。何でも受け止めてくれる。と、全身で表現している。
前回の感想文で『潤花ちゃんは真風さんのシルエットに添う、エアウィーヴのマットレスのようなしっくり感』と書きましたが、今回は真風さんもエアウィーヴになっていました。(変な例えでゴメンナサイ。)
銀橋上で、潤花ちゃんのティアラを留めているピンを外すのを手伝っている真風さんの、一瞬の「素」の感じとか・・・
ぎこちないその様子を客席が息をつめて見守っている。
ひととき、甘い空気が劇場に広がって・・・この幸せな時間が永遠に続けばいいのに。
この空気感こそが宝塚歌劇の、そして真風涼帆の魅力なのではないかとあらためて感じた訳です。
そして、役の上では『空回り役』の、キキちゃん・ずんちゃん・みねりちゃんも安心して空回ってる。ずんちゃん、貸切主催の「三井住友」をセリフの中で言おうとして頑張って下さいました。いい人やわ~。
みねりちゃんは、透明感のある歌声がさらに美しく輝いていました。コミカルな役も上手いし、とてもキュート。これからも色々な役で活躍して欲しい。
ロケットの次の場面の大階段で、真風さんと娘役達とのダンスの時に、センターでみねりちゃんと春乃さくらちゃんが、真風さんに顔を寄せるような振りがあるのですが、真風さんがみねりちゃんのホッペをチョンとつつくような仕草をしたんですね。
もしかしたらいつもされている事なのかも知れませんが、その時のみねりちゃんの、ハッとしたような嬉しそうなお顔が印象的でした。
真風さんだからこそ、みねりちゃんだからこそ、分かり合える『何か』がそこに有ったのかも知れません。
みねりちゃん、本当に嬉しそうだったから・・・。
タカラヅカは浴びるもの?
カジノ・ロワイヤルのフィナーレ、大好きです。
お芝居の最後のシーン。
美しい真風ボンドが想いを振り切るように下手の花道から去って行く。オーバーラップするように、キキちゃんが絶妙なタイミングでせりあがって来る。
その、キキちゃんのまた美しいこと!
トップになる直前の2番手さんには、何とも言えない独特の美しさが現れます。
そのキキちゃんが歌い終わると、また絶妙なタイミングで本舞台に『スペードのエース』みたいな衣装で、下級生達のロケットが華やかに登場して来る。
今日はちょうど下手側だったので、オペラグラスでその一連の流れを見て泣いてしまいました。寂しくて泣いたのではなく、あまりの美しさに涙が出てしまったのです。
世界中どこを探してもこんなに美しい舞台は絶対に無い。
今まさに、ひとりの美しいトップスターが去ろうとしている。重なるようにその美しさを繋ぐ次のスターが現れる。そしてその後ろには何十人ものスターの卵達が並んで控えている。
この健康的な新陳代謝があるからこそ、宝塚歌劇は110年近くも存続し続けられているのですね。
今日の真風さんは、全身で宝塚大劇場を浴びている感じがしました。
タカラヅカは液体かもしれません。
宙組の場合はシトラスのいい香りの液体だと思います(笑)
公演日程表を見て今頃気づいたのですが、カジノ・ロワイヤルは今日の15:30公演が宝塚大劇場での最後の「貸切公演」でした。
終演後の舞台挨拶は、真風さんが宝塚大劇場で羽根をつけて行う最後の舞台挨拶だったのですね。
「これからも宝塚歌劇をよろしくお願いいたします」と言った時、ほんの一瞬、微妙な間合いがあった気がしたのですが、もしかしたら『最後の舞台挨拶』をちょっぴり意識されていたのかも知れませんね。
宙組さんの愛のあふれる爽やかな舞台で気持ち晴ればれ。
真風さん、潤花ちゃん、青春の輝きをありがとう!
アデュー!